公益財団法人大原芸術財団は、クラレグループ100周年事業の一環として、2025年7月より一般財団法人クラレ財団の助成を受け、所蔵するエル・グレコ《受胎告知》の修復事業を実施いたしました。
16世紀半ばから17世紀初頭にかけてイタリア、スペインで活躍したギリシャ出身の画家エル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプーロス)。地中海の偉大なる三文化に育まれた彼の絵画を修復するにあたっては、豊かな経験と高い技術力を誇る専門の修復家をスペインのプラド美術館から招聘し、弊財団の研究員・学芸員をはじめ、多くのスタッフが共同して取り組みました。
修復作業の完了を記念した正式な再展示は、2026年4月からを予定しておりますが、この度、修復後の《受胎告知》の姿をいち早く皆様へお届けすべく、「一般財団法人クラレ財団助成 エル・グレコ《受胎告知》修復後初公開 ―プレ再展示―」を企画いたしました。本展示では、修復を経て、エル・グレコが描いた当初に限りなく近い姿へと蘇った《受胎告知》をご覧いただくのはもちろんのこと、今回行った修復作業の詳細をお伝えすることで、絵画修復という仕事についてもご紹介いたします。
また、この作品は、1922年にパリのベルネーム・ジュヌ画廊で洋画家児島虎次郎が大原孫三郎の経済的支援を得て購入し、1923年にここ倉敷で公開して以降、100年を超えて日本の人々に愛されてきた一枚です。開館当初から、大原美術館の顔のひとつとして親しまれてきたエル・グレコの《受胎告知》について、改めて知っていただく機会となれば幸いです。
大原美術館が誇る傑作
エル・グレコ《受胎告知》(1590年頃-1603年)
キリスト教美術の長い歴史のなかで無数に描かれてきた「受胎告知」。
聖母マリアが神の子イエスを受胎したことを、大天使ガブリエルが告げる重要な場面です。エル・グレコは、これを、深い闇が渦巻く中、閃光と共に舞い降りる聖霊の鳩、そして緊張感あふれる面持ちで相対する天使と聖母という劇的な情景として表しました。
本作は、戦前から日本に存在した唯一のエル・グレコの油彩画として、1923年にこの地で公開されて以降、人々の心に大きな感動を生みだし続けています。
※ここに掲載されている作品画像は修復前の状態を撮影したものです。
修復後の作品の姿は、ぜひ美術館にてご覧ください。
会場 |
大原美術館 本館3室 |
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会期 |
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見出し
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